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「誠照寺御使僧による美濃廻り」とは
誠照寺(じょうしょうじ)の御使僧による美濃廻り(美濃廻檀)は、奥美濃地域では「おまわりさん」とも呼ばれる重要な民俗行事です。美濃廻りでは、福井県鯖江市にある誠照寺の御使僧一行が1ヶ月半前後をかけて、越美国境山地を越え揖斐川上流域の村々を巡回し、各地の寺院や道場とよばれる建物で檀家衆を集めて説法を行いました。寺院の教線が国境を越えて展開していた希有な例です。
道路が整備され自動車交通が発達するまでの時代、巡回は徒歩によって行われました。越美国境山地を越える峠をはじめ、難所となるいくつかの峠道では、御使僧は信徒衆などが担ぐ駕籠にゆられて峠を越えたともいわれています。
奥美濃地域は、古くから文化的にも経済的にも福井県とのつながりが深い地域でした。ここに示した往時の巡回経路は、自動車交通が発達するまでの時代における、奥美濃地域内外の主な交通路や交易路を把握するうえで重要な手がかりとなると思われます。
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制作メモ
この地図の作成に際して、巡回地は
本山誠照寺のウエブサイトを参照しました。
また、巡回経路については、各時代の交通手段によって多少変化しているものと推定されます。ここでは徒歩による巡回が行われた最後の時期である昭和30年代ごろの経路を想定し、大本山誠照寺のサイトを参考に、旧版地形図などから経路を求めています。
徳山ダム湖に沈んだ旧徳山村をはじめ、すでに廃村や廃道となっている場所も多く、位置の比定には推定や不明な点が含まれます。このため地図を拡大して見た場合の表示内容には、多少の誤差が生じることあります。
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